2016年の診療を終了しました

岡山市のうえき歯科・矯正歯科です。

12月29日の午前で2016年の診療を終了しました。

2016年、当院ではカウンセリングルームの改装、矯正治療における筋機能訓練の導入、ホームページのリニューアル、矯正歯科学会での症例発表、スタッフの産休と増員など、様々なことがありました。

いつもご理解ご協力をいただいている患者の皆様に、深く御礼申し上げます。2017年もどうぞよろしくお願いいたします。

最後に、いつも支えてくれているスタッフに感謝致します。

院長 植木雅士

 

 

 

 

矯正治療例-片側前歯の突出

岡山市のうえき歯科・矯正歯科です。

許可をいただいた患者さんの治療例をご紹介します。

症例

9歳女子。片方の前歯が出ていることを主訴に来院されました。

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左上の前歯だけが前に突出して生えてきて、ずっと位置が変わらないとのことでした。写真ではわかりにくいですが、楽に口を閉じてもらうと、左上の前歯一本だけ見えてしまう状態でした。

普段から口がポカンと開いていることが多いとのことでした。

他の部位に大きな歯列不正はみられず、またレントゲン検査において骨格的な異常はありませんでした。

治療方針と治療結果

上顎にリンガルアーチを装着、左上中切歯の裏には金属のボタンを付与し、ゴムの力で歯を内側に移動することにしました。c52

治療期間は3か月でした。

永久歯がすべて生えそろうまでは、口腔周囲筋のトレーニングと経過観察を続けていきます。

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前歯の位置異常

前歯が一方のみ突出してしまった原因を特定することは難しいのですが、乳前歯の打撲や晩期残存などが原因の一つと考えられます。

口を閉じ鼻呼吸がしっかりできれば、突出している歯でも口唇の力である程度良い位置に歯が動いてくれる場合があります。

しかし今回は、口がポカンと開く習慣があった上に、楽に口を閉じたときに下口唇上に歯が乗っていたため、それもかなわなかったと考えられます。

矯正装置の装着期間は3か月でした。

一本だけの歯の位置異常は、今回のように短期間での改善が可能であることが多いです。

当院では、矯正治療に筋機能トレーニングを組み込んだ包括治療を行っています。お子様の口がよく開いてて歯並びも気になるという方は、是非一度ご相談ください。

 

当院の治療例はホームページ内にも掲載しています。是非ご覧ください。

うえき歯科・矯正歯科 治療例

パラタルアーチ

岡山市のうえき歯科・矯正歯科です。

今回は矯正治療で用いるパラタルアーチについてお話しします。

パラタルアーチとは

パラタルアーチは混合歯列期にも成人矯正にも使用される、固定式の装置です。

左右の上顎大臼歯にバンドを被せ、アーチ状に曲げたワイヤーで口蓋部に橋渡しをするという、非常にシンプルな装置です。

パラタルとは、口蓋(部)の という意味です。

パラタルアーチの役割

パラタルアーチの役割は ①遠心回転 ②拡大 ③トルク調整 ④固定源 です。

①遠心回転 大臼歯を奥の方向(遠心方向)に回転させます。スペースを確保でき、歯列がV字型になるのを防いでかみ合わせを安定させることができます。

②拡大 大臼歯間の幅径が狭いときには拡大します。成人矯正でも数mmの効果が期待できる場合があります。(上顎における大臼歯の位置に依ります)。

③トルク調整 大臼歯の頬舌方向の角度を調整します。表につけるアーチワイヤーでも可能ではありますが、パラタルアーチのほうがより確実に調整できます。

④固定源 成人矯正で小臼歯を抜歯する場合では、大臼歯が手前に動いてしまうことがあるため、左右の大臼歯をパラタルアーチで加強固定することによってこれを防ぎます。

このように、パラタルアーチは多くの役割を持っており、正確な大臼歯のかみ合わせを作るために非常に有効な装置です。使用するかどうかは歯列の状態を分析して決定します。

 

パラタルアーチは患者さんごとの口蓋部の形に合わせて作成します。

装着した時にはどうしても違和感やしゃべりにくさがありますが、ほとんどの方は慣れると問題なく使用していただけます。

 

パラタルアーチについてご紹介しました。

デンタルフロス

岡山市のうえき歯科・矯正歯科です。

今回はデンタルフロスについてご紹介します。

デンタルフロスとはいわゆる糸ようじのことで、歯と歯の間の歯垢を除去するための道具です。適当な長さに切って使う「糸巻きタイプ」と持ち手の付いた「ホルダータイプ」があります。

デンタルフロスの使い方

歯と歯の間に当て、横に動かしながら糸ノコで切るように、歯間部に入れていきます。歯肉に少し隠れるほど入れ、上下に動かして歯垢を取り除きます。取り出すときは入れるときと同様、横に動かしながら抜きます。

勢いよく入れてしまうと歯肉を傷つけることがありますので注意しましょう。

デンタルフロスの使用頻度

一日1回から週に2、3回くらいをおすすめします。歯垢は2〜3日すると落ちにくくなるためです。

使用し過ぎると歯や歯肉を傷つけてしまうことがありますので、毎食後の使用は控えたほうが良いでしょう。

就寝前、歯ブラシで磨いた後にフロスで仕上げをするのが最も効果的です。

デンタルフロスの意義

歯と歯の間は歯垢がたまる部位であり、むし歯の好発部位でもあります。フロスは歯ブラシの届きにくい歯間部の歯垢を除去し、むし歯を予防します。

歯肉炎、歯周病や口臭の予防にもなります。 

フロスが引っかかる部位や切れやすい部位では、初期のむし歯があったり詰め物が不適合である可能性もあり、むし歯の早期発見にもつながります。

子供も使用できる?

乳歯列期のお子様は歯と歯の間が狭く、汚れが挟まったまま取れないことがよくあります。進行の早い乳歯のむし歯を防ぐため、お子様にも時々使用することをお勧めします。ただし、お子様自身が行うのではなく大人の方が行うようにしてください。

 

デンタルフロスの使い始めは、歯垢がたまっていたことによる歯肉の炎症で出血することがありますが、すぐに収まります。なかなか出血が収まらない時には他の原因も考えられますので、歯科を受診しましょう。

デンタルフロスについてご紹介しました。

矯正歯科の歴史と抜歯論争

岡山市のうえき歯科・矯正歯科です。

今回は矯正歯科の歴史と抜歯論争についてご紹介したいと思います。

アングルの非抜歯理論

近代矯正学の父と言われるアメリカのアングル(Angle)は、1900年代初めに歯科矯正学を一つの専門分野として確立しました。

アングルは研究成果や治療例を紹介した教科書を7回出版しており、第6版までには抜歯症例が多く紹介され、重度の上顎前突では抜歯を奨めていました。ところが突然、矯正治療における便宜的な抜歯を否定するようになり、第7版では抜歯という項目がなくなってしまいました。

「歯の全てを使って正しい咬合が得られるように歯を配列すれば、最も美しく調和した顔の審美性も得られる」という非抜歯理論に、アングルは最終的にたどり着いたのでした。

抜歯か非抜歯か

学問上の宿敵ともいえるケース(Case)は「矯正治療における抜歯問題への疑問」という論文を発表します。世にいう「1911年の抜歯論争」です。多勢のアングル学派に対し、孤立無援のケースは決して頑固な抜歯論者ではなく「咬合異常の原因についての慎重な検討の結果によれば、抜歯もまたやむを得ない場合もある」という冷静な論調でした。今日の私達からするとケースの方が当然まともな意見なのですが、当時はアングルの方が正しいとされていました。

アングルは、非抜歯理論を確実に実現させるためには、歯を傾けるような動かし方ではなく、平行移動するメカニズムが必要だと考え、研究を重ねた末、1926年にエッジワイズ法を考案しました。

抜歯への回帰

アングルの没後、多くの矯正歯科医が、エッジワイズ法でいかに完璧に治療を行っても、高頻度の後戻りと顔貌の悪化(口元の突出)に悩まされるようになり、そもそも非抜歯という治療方針そのものに無理があるのではないかと考えるようになりました。

アングルの最後の弟子の一人であり一番弟子であったツイード(Tweed)は、1940年に「抜歯による矯正の再治療100症例」というタイトルの発表を、なんとアングル学派の学会で発表しました。非抜歯治療に限界を感じ、抜歯による再治療を密かに行っていたのです。同門の長老ストラング(Strang)は激怒しましたが、講演前に症例の模型を見て、あまりにも綺麗な仕上がりの数々に度肝を抜かれました。講演後、罵声を浴びせられるツイードをストラングは擁護したといいます。ほどなくして、ストラングをはじめとする多くの矯正医は、競ってツイードのいるアリゾナへと出向きました。

それでもなお非抜歯理論が優勢であったのは、アングル夫人が矯正歯科会に君臨していたからだと言われており、1957年にそのアングル夫人が亡くなると、雪崩を打ったように抜歯論へと転向していきました。

エッジワイズ法の完成

ツイードは、抜歯治療を行いながらも恩師アングルの2つの遺訓を守りました。

1つは矯正歯科専門医性制度の確立でした。州議会で症例を議員たちに見せながら説得にあたり、全米で最初の「矯正歯科専門医」となっています。ツイードは単なる異端児ではありませんでした。

もう1つはエッジワイズ法の完成です。恩師アングルのエッジワイズ法は、その論敵であったケースの”熟慮の結果ならば抜歯もまたやむを得ない”という考え方によって初めて正しい治療として完成させることができたのです。

アングルが考案しツイードが完成させたエッジワイズ法は、現在でも広く愛用されています。

矯正治療の現在

現在においては抜歯もやむなしという矯正歯科医が大半なのですが、それでも「全体に抜かない」という考え方もあり、世間や矯正歯科学会を惑わしています。矯正治療では、抜歯も非抜歯もどちらも必要であり、いずれかの意見に固執することは「どちらも間違い」と言わざるを得ません。

ローフリクションシステム、矯正用アンカースクリューなどの開発によって治療法の多様化が進み、非抜歯での治療が可能な症例も増えているといわれています。しかしその一方で、非抜歯が原因での上下顎前突による口元の突出や、拡大床装置によって物が噛めなくなったなどの失敗症例の報告も後を絶ちません。

「抜くべき歯を抜かないのは、抜いてはならない歯を抜くのと同じである」というケースの言葉には、時代を超えて今なお重い響きがあります。

 

長文を最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

 

参考文献

日本歯科評論779号/福原達郎:歯科矯正学入門  など